ファウスト
ファウストは、15〜16世紀頃、ドイツに実在したと言われる伝説の黒魔術師のこと。
当時ファウストの姓を名乗るもので実在が確認されたのはヨハン・ファウスト、ゲオルグ・ファウストの二人。この両名が同一人物だったかどうかは定かではない。ゲーテの戯曲『ファウスト』、クリストファ・マーロウの『ファウストゥス博士』、トーマス・マンの『ファウストゥス博士』など数々のファウスト伝説のモデルとなった人物でもある。
これらの伝説に描かれたファウストは、自分の魂を代償に悪魔と契約を結び、現世での享楽を追及する、典型的な黒魔術師となっている。
ファウストは、最初はヴィッテンブルクで神学を修めたが、そのうち神を捨てて黒魔術に走り、悪魔のメフィストフェレスと契約を結んだ。
契約の内容は、死後自分の魂を悪魔に与えることを代償として24年間は魔力で現世の快楽を得るというもので、悪魔は黒犬に化けて常に彼に仕えた。
悪魔の力を借りたファウストはヨーロッパ全土を渡り歩き、ロ−マ教皇やスルタンの偽善を暴き、ドイツ皇帝など王侯の前で様々な魔術を披露するが、結局最後は契約が満期となり、悪魔に絞め殺されたといわれている。