白魔術と黒魔術
白魔術と黒魔術は、力の源泉と術者の意図により分類される。
常、白魔術とは、天使、神、精霊など、「善なる存在」を召喚しその力を借りて魔術的効果を期待するもであり、逆に黒魔術とは、悪魔や悪霊など、「邪悪な存在」を召喚し、超自然的な効果を及ぼすものである。
他方、魔術師の意図によって白魔術と黒魔術を分けることもできる。
この考え方は、暗殺、蓄財など、魔術師自身の利己的な欲望実現を目的として行うものが黒魔術であり、豊作、豊漁の祈願、災厄の回避など、社会や公共の利益となる目的で魔術を行えば白魔術となる。
中世の魔女は、悪魔と契約を結び、悪魔の力を借りて、作物や家畜に害をなすなどの災害を地域社会にもたらす邪悪な魔術を行うと信じられていたが、この場合、魔力の源泉という意味でも、意図の面からも、典型的な黒魔術といえる。
『グリモア』と呼ばれる中世ヨ−ロッパの魔術書や、ファウストの伝説などには、悪魔を呼び出してこれと契約するという、典型的な黒魔術の方法が示されている。
一般的に悪魔を一度召還すると、悪魔に顔を覚えられ、命を狙われるとされる。またこれとは別に魔女術では、魔女として、悪魔と契約しその力を借りるが、その契約の証として、体のどこかに「契約の印」と呼ばれる、痛みを感じない箇所があるという。
現実にも黒魔術は行われている。よく知られた例としてはアフリカのサッカーチームの対戦で互いの相手チームを呪う行為を行う場合がある。
2002年アフリカネ−ションズカップ「マリ」大会。準決勝マリ対カメルーン戦直前に、カメルーンGKコーチのヌノコ氏が対戦相手のマリに呪いをかけようとして、試合前のグラウンドで警察官に緊急逮捕された。