シャマニズム
シャマニズムとは、シャマンと呼ばれる人物を中心に構成される民族宗教形態を指す。
シャマンとは、主に失神、幻覚を伴う忘我状態・恍惚状態になることで、神自然界の諸霊、精霊、神々などと直接交渉を行い、その部族の中で病気治療、伝統の伝承、降神、占い、祭儀、神や精霊との接触などの宗教的義務を司る役職の人物のことをいう。
シャマンという言葉は、サンスクリット語の「シュラマナ」あるいは「サマナ」に由来する説と、ペルシャ語の「シェメン(偶像・祠)」から転化したという説があり、本来はシベリアや中央アジアの部族でこのような役割を担う人物に用いた。現在では宗教学上、民俗学上で地域・民族を問わず使われる。シベリア、中央アジア、インドのムンダ族、韓・朝鮮半島、日本、インドネシア、北・中・南アメリカ先住民族に制度化されたものが見られ、その痕跡が古代インド、シナ、イラン、スキタイ人などに見出される。
シャマンには大きく分けて、自分の魂を肉体から解放して霊界に赴き、諸霊と直接語ったり指示を受けたりする脱魂型と、霊を自分の身体に乗り移らせる憑依型とがある。
シャマンになる人物については、特定の家系が代々世襲し、一定の儀礼と訓練を経て先代の跡目を継ぐ場合と、特殊な素質に恵まれた人間が選ばれる場合とがある。
なお、日本ではシャーマニズム、シャーマンと呼ばれることが多い。