ローゼンクロイツ
クリスティアン・ローゼンクロイツは、17世紀初頭のヨーロッパでその話題が流布した魔術の秘密結社の開祖と伝えられている。
薔薇十字団は、錬金術や魔術などの古代の叡知を守り伝えつつ人類を正しい方向に導くため密かに活動しているといわれるが、一種の都市伝説で実在はしないとされる。
ローゼンクロイツの生涯は、ドイツの聖職者であるアンドレーエの作とされている『科学の結婚』や、1614年頃にドイツで書かれたパンフレットに語られている。
それらの資料によればローゼンクロイツは、ドイツのブロッケン山近くの貧乏な没落貴族の家系に生まれた。16歳になるとエルサレムへの巡礼に向かうが、その途中、アラビアの賢者について耳にしたため、現在のイエメンにあるダムカルに向かう。
ローゼンクロイツはダムカルで、アラビア語、数学、自然学を学び、『Mの書』と呼ばれる書物をラテン語に翻訳した。ダムカルで多くの知識を得たローゼンクロイツはドイツに帰国後5人の仲間たちとともに薔薇十字団を結成した。
ローゼンクロイツは106歳で死亡したが、死後120年を経た1604年、ある会員が彼の秘密の墓に通じる隠し戸を偶然に発見した。中に入ると、七角形の埋葬室の天井には永遠に消えることの無いランプが輝き、ローゼンクロイツの遺体は腐らずに完全なままに保たれていた上、「我は120年後に蘇るであろう』と記された碑文も発見されたという。