ガードナー
20世紀になって生まれた、魔術界の新潮流ウィッカの創始者がジェラルド・ガードナーである。
ドルイドの魔術の復活を自称する独自の魔術体系を整備。それに基づいて生まれたのがウィッカである。
ガードナーは、イギリス領マレー(現在のマレーシアとシンガポール)に生まれ、定年までにそこで税関職員として過ごした。一方で現地の民族や土着の魔術にも関心を示し、独自の研究を続けていたらしく、刀剣に関する著作も著している。
55歳で税関を退職後、イギリス本土に移住したガードナーは、当時ニューフォレストで活動していた魔女オールド・ドロシー・クラッターバックからイニシエーション(通過儀礼)を受け、正式に魔術師としての活動を始めた。その後は、晩年のクロウリーの協力も得つつ独自の魔術体系を構築していった。その成果をまとめたのが、代表作の『影の書』で、同書は今でもウィッカの基本的な教典となっている。
ガードナーはまた、1954年に『今日の魔女術』を著し、自らの魔術体系を公表、以後ガードナーの許には大勢の弟子が殺到したことから、ウィッカと呼ばれる魔術史上の新潮流が生まれることとなった。
ガードナーによれば、ウィッカの魔術は古代のドルイドが行っていた自然魔術を復活させたものということだが、教義にセックスを取り入れ、儀式では裸体を求めるなど性魔術の要素も取り込まれている。
1960年代から70年代にかけてのフリーセックスの風潮が追い風ともなって急速に勢力を拡大したが、ガードナー死後は分裂状態となっている。