ドルイド
ドルイドとは、ケルト人社会における祭司階級のこと。ドルイドという名称の由来は、Dru(樫)とwid(知る)からなる古ケルト語で「オークを知る者」の意である。
ケルト人は樫の木を聖木として崇拝しており、ドルイドたちの宗教儀式も樫の森で行われた。またドルイドたちは、樫の杖を用いて様々な魔術を行い、精霊や妖精を操ったり、空をとんだりしたと伝えられている。
ドルイドは文字で教義を記す事をしなかったため、その全容については不明な所が多い。ユリウス・カエサルの『ガリア戦記』によれば、ドルイドの社会的影響力はかなり大きなものだったようである。ドルイドは、神々の察司として生贄を捧げ、戦いの行く末を占い、予言をおこなっただけでなく、青年の教育もドルイドの役目であった。また、裁判官として、争い事を調停あるいは裁決し、必要があれば人々に賠償や罰金を課した。公私にわたるさまざまな争い、相続・犯罪・国境争いに至るまでドルイドの裁決を不服とした者は、社会的地位や信用を失った。
さらに、ドルイドは文学や詩に秀で、神学や倫理、法律、天文学、占術などを学んだ特権階級として、税や兵役を免除されていた。そのかわりに、彼らは多くの歳月(長い者は20年間も)を修行つまり聖なる言葉の暗記に捧げなければならなかった。聖なる言葉を文字に書き写すことは禁じられていたのである。これはドルイドの教義が一般大衆に知れ渡り、自らの尊厳を失うのを防ぐためと、弟子たちが文字に頼って記憶力をおろそかにするのを防ぐためであった。