魔法の杖
魔法の杖は、多くの魔術師が小道具として用いる、魔術師に欠かせないものである。
古代エジプトでは、杖は権威の象徴となっており、神々の多くは、独特の形をした独自の杖を手にして描かれている。
また、古代西ヨーロッパのドルイドも、聖木である樫の杖を振るって様々な魔術を行ったと伝えられている。
杖は、年老いた人間が使用することから、長年生きてきた人間の持つ知恵を象徴するものでもあった。こうした考えは、特に中国において顕著で、仙人の多くは老人の姿で、杖を持って描かれ、杖を龍に変えたり、あるいは自分の死体の代わりに棺に入れたなどの逸話が伝わっている。
杖の魔力については、『旧約聖書』にも記されている。「出エジプト記」第7章には、モーセの杖が蛇に変わったり、杖でナイル川の水を打つと水が血に変わったりという奇跡が記されており、同じく第17章では、アマレクとの戦いで、モーセが神の杖を持った手を上げているとイスラエルが優勢になったと記されている。
タロットでは、杖、あるいは棒は4つのシンボルの1つで、四大元素(エレメント)のうち火を象徴している。