エノク語
16世紀イギリスの魔術師ジョン・ディーが、霊媒師のエドワード・ケリーを介して大天使ウリエルから授かったという特殊な言語体系がエノク語である。
エノク語の起源については、古代のアトランティス大陸で話されていた言語の退化したものとも、英語あるいはウェールズ語から派生したものといわれる一方、エデンの園で話されていた言語とも、天使の言葉ともいわれる。
ケリーは霊の呼び出しにエノク語を使い、これは独特の文法と構文を持ち、発音はサンスクリット語、アラビア語、ギリシア語に似ていたという。英語に似た独自の言語体系と21文字からなるアルファベットを持地、21文字のそれぞれは、西洋占星術で用いられる黄道12星座や四大エレメント、さらにはタロット・カードにも対応している。
ウリエルは単にエノク語を伝えただけでなく、エノク語で諸霊を呼び出す際用いる19の鍵や精霊を操る際用いる100個の魔方陣、さらにそれを使用するために必要な指示なども残している。
エノク魔術の体系は、魔術結社黄金の夜明けの共同創始者メイザースによって発掘され、多くの魔術儀式にエノク語による呪句を組み込んで利用し、大きな効果を上げていた。後にはアレイスター・クロウリーらによって、エノク魔術としてさらに発展することになった。